Tour de France: 旅の始まり

車の窓を流れていくカリフォルニアの見慣れた景色を眺めながら、これからの壮大な旅を想像しようとした。何が起こるか、全く想像がつかない。しかし、一つだけ確かなことがあるような気がした。一か月後にここに戻ってくる自分は、少し別な人間になっているだろうということ。未知の旅に旅立つ予感に、小さく震えた。

サンフランシスコ空港でお昼を食べていたら、向かいのテーブルでは、赤毛の老婆がシャンパンの小瓶を開けていた。なにか大切な旅が終わったのだろうと想像をふくらませる。僕も旅が終わったらシャンパンを開けよう、そう思った。

自転車人の憧れの地、フランス。Tour de Franceの画面に映る圧倒的な峠道を、自分の脚で走ってみたい。夢のような話だが、考えてみれば、それを阻むのは自分の常識と惰性以外には何もないことに気付いた。そんな計画を立て、家族に話し、上司の了解をとり、と実現に向けて動き始めたのは実に一年前のことだ。

ヨーロッパに住んでみたいという気持ちも、頭の片隅にずっとあった。そこで、フランスの各地、四つの拠点に一週間ずつ滞在する、そういう旅程を組んだ。フランスには「Gite」という避暑地文化がある。それを踏襲して、小さな家に一週間住む。現地の材料で、現地の料理を作る。三日は仕事し、三日は、家から半径100kmくらいの範囲内で心惹かれるところを自転車で探検する。最後の一日で次の拠点へと移動する。結局会社は辞めたので、実際には一週間全部遊べることになった。

そんなに難しいことは考えず、AIと相談して、まだ訪れたことのない地をということで、次の四つの地を選んだ。

  1. ロワール: フランスの真ん中のあたりに流れるロワール川に沿って、中世の古城が点在する。百年戦争、ジャンヌ・ダルクなど、フランスの歴史の舞台でもある。
  2. ボルドー: 紹介するまでもなく、ワインの地だが、それ以外のことは何も知らなかった。フランス南西部の大西洋に面したところ。
  3. プロヴァンス: 地中海にほど近い、南仏のラベンダーの里。有名なMont Ventouxという山登りコースがある。
  4. グルノーブル: アルプスの拠点として選んだ。3000m級の山々が連なり、世界で比肩するところのない峠道だらけである。

この旅をどう文章にまとめようか思案した挙句、特に印象深かった日を選んで、日記形式でまとめた「縦糸」と、空間と時間を横断して立ち現れるテーマをまとめた「横糸」とで編み上げることにした。

最初と最後の記事以外は、拾い読みしてもらえるようにした。

赤い線はルート、ピンはブログ、写真マーカーは道中の写真を開きます。

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