Nomadlandを見た

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同僚に勧められてNomadlandという映画を見た。

僕には幾つか恐れているものがある。歳を取り、世界が変わり、自分の能力が全く無用の物になっていて、困窮している。家族は誰も残っておらず僕の事を気に掛けてくれる人はいない。この物語の出だしはまさにこの恐怖そのものなので、僕にとってはホラー映画のように感じられた。

物語が進んでいくと、印象が変わっていく。主人公はそんな暮らしに屈折したり鬱屈したり屈辱感を感じすぎて挫折することなく、人との繋がりを作っていく。こういう生き方をせざるを得ないから、ではなくて、これが私の生き方だから、という姿勢が鮮明になっていく。何度も定住をする機会を得ながら、最後まで定住を選ばない。それがとても嬉しかった。主人公の心境の発展は正直僕には分からなかったので、僕の悪夢が現実になった時に僕はこの人のようになれる自信はとてもないが、それでも希望を感じる話に感じられた。

アメリカ西部の大自然の描写もとても美しかった。広い世界に小さな自分。Nomadとして生きる喜びの源泉の一つは間違いなくこれだ。僕も最近せっせと自転車で遠出するのも、こういう広さに憧れるからだ。疫病で自宅に閉じ込められるのを息苦しく思う気持ち。

そして、映画に出てくるのはみんないい人だ。それぞれに主人公との意義のある対話、誠実で真摯な繋がりが用意されている。とても良かった。一方で、現実は本当にそんなに優しいのかとも思う。自分の置かれた境遇に折れてしまったり、心を病んでしまったり、アルコールや薬物に逃避してしまったり、そういう人とも関わらざるをえない世界なのではないのか。サンフランシスコで見るホームレスの事を考える。

そういう厳しすぎる辛い現実を少しオブラートにくるんで、希望の持てる物語に仕立てた、それが監督の優しさかもしれない。どうせ映画を見るなら救いのない辛い映画よりも希望を持てる映画が見たいから。

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