2022年の総括:水彩画

今年も水彩画を続けている。今年一年で50枚位描き、延べ100枚を超えた。旅先にも持って行って必ず何かを描いている。

濡れている状態で色を混ぜるwet on wetや、乾かしてから色を重ねるwet on dry、ドライブラシなど、基礎的な技術はある程度習熟した。風景を描くというのは少し慣れてきた。生き物を描くのにも何度か挑戦してみた。

水彩画を描くのは、物言わぬ友人とテニスのゲームをしているような感じだ。僕が絵の具を紙に乗せる。ある程度の意図を持って何かを狙う時もあるし、適当にやる事もある。水と絵の具が、僕の行動に反応して紙の上に変化を引き起こす。それを見て、次の一手を考える。上手くラリーが続くととても心地よいし、時にはハタと手が止まってしまう事もある。

自分では善戦したつもりでもボロ負けして駄作が出来る事もあるし、ゲームが白熱すると何だか分からないけどこれはいいぞ、と思うものが出来たり。蓋を開けてみるまでは何が起こるか本当に分からない。

こういう、ある種の対話が一人で出来てしまうという事に若干の恐れを感じる。これに引き込まれてしまったら人間の世界に帰ってこれなくなってしまうのではないか。

会社のSlackチャンネルに作品をポストする事を今年始めた。ポツポツと同僚が応援してくれるのが、何かの動機になっている。

ある時、上手く行ったなと思う作品の多くは、濃い、複雑な暗色がドカンと存在感を放っているなと感じた。それ以来、恐れずに濃い色を紙に乗せるという事に挑戦している。暗い色を作るためには、青と緑と赤を混ぜる必要がある。暗い茶色を作ろうと思ったのに、暗い緑が出来上がったりするが、そういうのを気にするのはやめた。それなのに、不思議と上手く行く。

今まで使ってきた固形絵の具が、中々水に溶け出さず、濃い色を作るのが不便に感じられてきたので、Winsor & Newtonというプロが使う絵の具を使い始めた。そしたら全然絵の具の反応が違い、また世界が広がった。そういう違いに気付けるようになった点に、進歩を感じる。

また別なある時、水の量が多すぎて紙の上で絵の具が混ざりすぎてしまうように感じられたので、今までのハガキ大の紙から、A4位の大きな紙に交換してみた。そしたら、世界が驚くほど変化した。紙の上がパレットになったかのようだ。色を乗せてから、別な色を追加して紙の上で混ぜてしまう。ドライブラシも今までよりずっと簡単になった。

絵に自分を描き込んだ

写真に忠実に描くのもやめて、大胆に創造したり、不要に感じられるものを取り除いたりする。

自由になっていくのを感じる。今までやっていた事から更に踏み込んでいく。何となく、それはルール違反なんじゃないかと思っていた事をやっていく。

秋からは、自転車サークルでの活動を絵に描き、それを自転車仲間に見せるというのを始めた。アメリカ人らしく大袈裟に褒めてくれるので、僕も気を良くする。そのうち、これが、自転車サークルを僕が如何に愛しているかのコミュニケーション手段のように感じられてきた。写真では、現実にあるものしか写せないが、絵なら僕の心象風景をもっとうまく捉えることが出来るんじゃないのか。今はそれを探求している。

そのために、今まで怖くて手が出なかった、人物を描くというのにも恐る恐る少しずつ手を出している。最初は小さな後姿だったのに、少しずつ大きくなり、こないだは遂に人物だけを中心モチーフに、正面から描いた。

来年は、水彩のサークルも見つけて参加できないだろうかと思っている。水彩画について僕が感じたり考えていることについて、誰かと対話したいという欲求を感じるから。

Water Color

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