優秀さについて

nuc.hatenadiary.org Twitter で医師を拾ってきて Google のソフトウェアエンジニアにするだけの簡単なお仕事 - 白のカピバラの逆極限 S.144-3 はじめに 「【転職エントリ】Googleに入社します|Lillian|note」という、医師から未経験で Google のソフトウェアエンジニアになった記事があります。 note.com 私は、この記事に出てくる「とある元 Google のソフトウェアエンジニア」で、面接の対策を立てました。 記事が出た当初から大反響で、私もそれなりの反応を見まして、いろいろと誤解されているなあ、と思う一方、アドバイザーはあくまでもアドバイザーだから、アドバイザーとして知りえた情報については、口をつぐむべきだと思っていました。 ただ、あまりにも誤解されており、悪影響が大きく、犠牲者も多くなってきたと思ったので、…

ちょっと毛色の違う多様性の発表をします

僕は日本で育ち渡米し、政治的にも左よりで、また高校生の娘もいるので、多様性というテーマについては肯定的に考えてきました。これを読んでいる男性諸氏にもそういう人はたくさんおられるのではないでしょうか。しかし、それが自分の行動に何か繋がっていたかと言うと、そうではありませんでした。自分はみんなに分け隔てなく接しているし、これでいいはず。どこか観念的な問題。進歩人の基礎的な知的嗜み。

ツレが鬱になりまして

先日、「ツレが鬱になりまして」という映画を見た。 僕の身の回りにも過去に鬱を患った人が何人かいるのだが、この映画を見て、今まで鬱について何も知らなかったし、知ろうともしなかった事を恥ずかしく思った。しかし、一番心に残ったのはそこではない。 この映画では、サザエさんやちびまる子ちゃん的な「普通」の家族の形ではなく、世界に二つとない独特な夫婦の形が描かれる。それは夫婦の役割分担という事だけじゃなくて、会話の間の取り方だったり、くつろぎ方だったり、互いの風変わりな趣味を尊重することであったりする。大体夫の事を「ツレ」と呼ぶのからして普通じゃないし、例えば、夫が失業してお金がないのに、大枚をはたいて夫が亀を買うシーンがあるのだが、嫁は全然その事に抵抗感が全くない様子が描かれる。 多くの人にとって、「普通」でない、というのはそれだけでもう大変に恐ろしいものではないだろうか。多分本当は「普通」な人なんて誰もいないのであろうが、無視しようと思っても、「普通」の方から勝手に規範を押しつけにやってくるのだからしょうがない。鬱という病気にとって、そのような規範の押しつけが特に良くないという事もあるだろうけど、劇中、この夫婦は、特に健康な嫁さんの方は、この二人の独自な関係にどんどん肯定的になってゆく。鬱から回復した夫も。 さて、僕の周りにも、不思議な夫婦がいる。正直、どうしてうまく行っているのか皆目分からないが、とても上手くいっているように見える。開けっ広げな感じなので、何かの秘密があるのじゃなくて、「普通」という罠を超えたところに二人だけの特別な関係を作り上げたのだろうと思っている。周囲の人の眼前にあるのに、その二人にしか理解できない関係。世界に一組しかない割り符。公然の秘密。 とても素敵だと思った。 普通じゃないという事はとても素敵な事である。